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2019年5月29日水曜日

タラチネ (家族の会話)



子3「おっかあ! タラチネって、何だ?」

母「母にかかる枕詞(まくらことば)ことばだな。和歌とかに出てくる。漢字だと、垂れた乳の根っこと書くことが多い」

子3「あー、なるほど!」

母「言っとくけど、別にそういう意味で母を飾ってるわけではないと思うぞ」

子3「しかし使えば垂れるものだろう、乳は」

母「だからって、歌よむのにいちいち『乳の垂れた母よ』って呼びかけるのか? いらんわそんなデスり系修辞!」

子3「じゃあなんでタラチネなんて言うんだ?」

母「しらん! 本職に聞こう。ちょっと国語学者! タラチネのタラって、乳が『垂(た)る』由来なの?」

父「たぶん、ちがうな」

母「じゃ、ひょっとして『足(た)る』か?」

父「それは、ありうるかもな」

母「そっちに乗った! よく聞くがよい! おっかあは母乳量が半端なく足りていたのだ! 子2は五歳、子3は四歳まで飲んでいた。子1のときだけ、ちょっと足りなかったが」

子1「初子だからな。馴れないうちは、なんでも不足するものだ」

母「うむ。すまなかった」





2016年8月6日土曜日

腐儒の言語学(90)





Q.東北の人は「モゴモゴ」話す人が多い気がする。 
 韓国語が「ボソボソ」こもっているような気がする。 



A.東北方言の場合、標準語と比較すると、 

①母音[i]がやや奥の中舌音、[u]はやや前の中舌音、[e]がやや狭口で、三母音が近接して口の中ほどの音になります。 

②有声音(いわゆる「にごった音」)、鼻音(鼻にかかる音)が多いので、標準語よりも口の中での響きの要素が多い。③発音が英語などと似た「音節」単位なので、「拍(CV)」になれた耳には「音」が重なっているように聞こえる。 


 韓国語の場合も似ています。 

①母音に中舌[oe][oa]がある。 
②語中で有声音が多い。 
③音節(CVC)型言語である。 

 ただし、これに「マイナス印象」を感じるのは、社会的・文化的偏見が混入しています。

例えば、アメリカ人が、アメリカ英語をしゃべっていると、大体「かっこよく」聞こえます。

しかし、イングランドの上流階層の英語を聞いた後で、これを聞くと、ひどくなまっているように聞こえます。

何を基準にするかで、評価はかわります。君たちの「自文化中心主義」と「ささやかな偏見」を自覚しましょう。 





2016年8月5日金曜日

腐儒の言語学(85)




話す速度

Q.話す速度は変えられるか? 臨界期をすぎると、意識しないと無理か? 


A.「話す速度」は、「情報を文にまとめる」速度と、「それを音声に実現する」速度に分けられます。

前者はいわば「考える速さ」で、後者は「音をつくる運動神経の速さ」です。後者は身体運動「走る速さ」と似たようなものですから、人によって違いますが、鍛えれば少し速く、なまけると少し遅くなるものです。

足の速さと同じく、身体運動の機能が完成する時期(10代後半)に大体きまるでしょう。 

 「考える速さ」は、

①情報の量
②処理に関与するモジュールの数
③伝達する回線の速度

によります。

①では、考えずにしゃべると速く、考えながらしゃべると遅く、なります(大学の先生の講義は、話す内容について、ほとんど考えないので速い)。

②はものごとを多面的に処理すると遅く、単純に処理すると早くなります。

③は考える訓練がなされていると(伝達回路が強化されるので)速く、頭をつかわないと遅くなります。こちらは、少し後になりますが、20代なかばまでに、大体決まるでしょう。