2016年10月31日月曜日

腐儒の言語学(129)  発音・清濁の対立



Q.「か」は「が」(有声化)しても口が閉じない(調音点が同じ)のに、「ふ」が「ぶ」になると、口を閉じない(調音方法がかわる)と言えない。何か理由があるのか? 



A.「k」と「g」は、ともに、軟口蓋・破裂音です。

前者は「無声」後者は「有声」の一点だけが違います。

声帯の振動以外の、音のつくりは全く同じです。


しかし、「f」と「b」は、調音点が唇であることだけが共通点で、他は全然ちがいます。

「f」は、両唇・摩擦音・無声で、「b」は、両唇・破裂音・有声です。だから、口の動きも違います。 


実は、ハ行とバ行は、清濁の対立の点で、音声上破綻しています。

濁音「b」に対して理論上予測される清音は「p」です。歴史的に、日本語のハ行音は「p>f>h・f」の変化を生じ、「p」の音がなくなってしまいました。

その結果、音声的には対応しない音が、音韻上清濁の関係にあると位置付けられることになっています。 

 (質問のしかたは分かりにくいが、着眼点はするどい) 

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