2016年10月31日月曜日

腐儒の言語学(119)

Q.時代の流れによって「発音」が変化するのはわかるが、発音がかわらないのに、意味が変るのはなぜ? 

(例.あからさまなり) 

 「発音」と平行して意味もかわるのか? 



A.「ぜんぜん」という副詞があります。 

① 明治以前、漢文で「まったく」という意味の副詞。 

② 明治以降、口頭語になった。 
  「全然賛成だ」「全然悪いです」と、状態の完全性 
   を述べた。 

③ 大正期頃、「全然よくない」「全然だめだ」のように、 
     「否定的意味」と呼応。 

④ 昭和前半、「全然~ない」のように「否定」と呼応す 
るよう、固定化。 

⑤ 昭和後期~、「否定」との呼応がゆるむ。 
  同時に、「比較構文」「比較判断の文」に適合。 
  「こっちの方が、ぜんぜんかわいい」 
  「ちょっと、まずかったかな?」 
    「ぜんぜん、いいよ。気にしないで」 

文法の体系・語彙の体系は、時代の要請と、システム自体の明晰化を目指して、変化をつづけます。

語彙量が増えれば、意味の分担方法がかわります。文法が分析的になると、意味が切り詰められます。

「発音」以上に変化が激しい分野です。 

なお、発音と意味は、別々に変化します。 



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