2016年10月2日日曜日

腐儒の言語学(117)  漢文学習に意味はあるのか?



Q.高校で漢文を習っていたとき、友人が、

「こんな文章は現地も読まないから、やっても意味はない」

と言っていたのですが、本当ですか? 



A.「漢文」は、もともと「古代・中国語・文章語」です。

中国古典はこの文体で書いてありますので、それに関心のない人には無用です。

今の大体の中国人もほとんど読めません。

しかし、「中国古典文化すべてに意味がない」と言い切る東洋人は、およそ教養があるとは思えません。

漢文学習は、東洋古典の扉のカギになります。 



もっと大事なことがあります。

「日本語」はかつて文字のない言語でした。

「漢字」と「漢文」を手に入れて、「記録」というものがはじまったのです。

仮名文字ができるまで、そしてできてからも、一部の文芸作品を除いて、漢文で記録してきたのです。

日本の言語文化の半分以上は漢文によります(貴重な資料なのに、読んでもらえないものが、たくさんあるのです)。

日本の過去を知るには、漢文で書かれた文書・文献を読むことが必須です。

漢文学習は、日本の歴史の扉のカギにもなります。

「日本の歴史すべてには意味がない」と言い切れるでしょうか。

「漢文教育」と「古文(仮名文体)教育」は、誰にでも、日本・東洋の文化の入り口のカギを与えるためにあります。

これなしでは、受け売り仕事しかできませんので、興味のある人には最重要のスキルです。 


たしかに教育カリキュラムと教材はあまりよいとは思えませんが、君の友人のことばは、単なる無知と欺瞞です。 





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