2016年8月9日火曜日
腐儒の日常(727) 正しいアクセント
日本語教師の模擬授業,続行中。
日本語教師は,できる限り「標準的な日本語」を教育するよう心がける。面倒なのが,アクセントである。
「あたまがいたい」
「"あたま"は,[○●●(低高高)](板書)です。 言ってください。」
「あたま ●●●」
あれ? ( ̄~ ̄;)
「こしがいたい」
「"こし"は[●○](板書)です。 言ってください」
「こし ○●」
あれれれ? ( ̄◇ ̄;)
声もしっかりしているし,授業自体は悪くない。でも,これヘンだよ。
「授業で,アクセントをつけること自体はとてもいい。
でも,その「こし(腰)」を[●○]頭高で示したのは,驚いた。
それ,キミのアクセント?」
「いえ,これはNHKのアクセント辞典を見ました」
「それは,ありえん。
腰は今も昔も,西も東も,平板型だ。
頭高の「こし」は,御神輿とかの「輿」だよ」
ただ,日本語アクセントの表記など,自分の発音にてらしてやれば大体OKなのよ。なんで,辞典を引いたかな? あやしい。
「ついでに聞くけど,「あたま」のアクセントは?」
「●●●です」
「きみ,[○●●(低高高)]と板書しているね?
東京語では,1拍目と2拍目は必ず高低がかわるよ。きみ,かわっていないよ。
音の強弱でごまかしたね?
ちなみに,出身地は?」
「千葉です」
???( ̄~ ̄;)それはありえん。
「千葉ぁ???」
「えっと・・・,あっ,長崎にもいました」
「それだッ!」
まわりの学生が怪訝な顔をしている。
「先生,長崎だと,なにかあるのですか?」
「長崎・熊本・宮崎・・・,この九州中部は,一型アクセント地帯。
アクセントによる単語の区別をしない地域なの。「雨」と「飴」が同じ」
「アクセントのない者は日本語教師になれませんか?」
「いや,そんなことはない。
日本語学習者だって,先生にならって覚える。
きみも勉強すればいいだけのこと。
日本語教育のM先生,知ってるよね?」
「はい」
「M先生は,名古屋の出身だけど,東京のアクセント覚えるのに,指トレしたそうだ」
「指トレ?」
「うん。手の中でね,親指を動かすの。
低い音は,中指。高い音は人差し指,をさわる。
体で覚えたんだって・・・
こ○(中)し●(人)が●(人) い○(中)た●(人)い○(中)・・・と」
「へええ」
関東ネイティブならば,そんなことしなくてもいいんだが,ちがったアクセントをもっていると,学習しなければ覚えない。M先生は,この結果として,講演したり,講義したりすると,右手の指が自動で動いてしまうようになったそうだ。
「・・・という訓練もあります。
自分にあった方法を探すといいよ」
そう。日本語を知らない人に日本語を教えると,自分の日本語のクセが顕在化するのよね。
関西人のオマエが言うな!
と言われるような気もするが,18歳で関西を出たときすでに,東京アクセントが自動でつかえました。父が東京式アクセントだったせいだと思うのですが,京都式と東京式,両方セットされたバイリンガル状態だったんですね。
関西を離れて,はじめて気がつきましたよ。
もっとも,わたしの関西アクセントは,室町末期の京都語と一致します。東京アクセントは,東京ではなく,熊谷あたりに当たるそうです。標準ではない。ないけれども,母語はなかなか意識できないところ。
2016年07月09日
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